皮膚の縫い合わせ方について〜当院の形成外科的アプローチとこだわり〜

当院では、単に傷を閉じるだけでなく、「でこぼこができないこと」や「将来的なひきつれを抑えること」を大切に考えています。

傷の状態や生じる張力を的確に評価し、以下の2つの方法を最適に使い分け、周囲の組織へ負担をかけない自然な仕上がりを目指します。

  1. 単純縫合(たんじゅんほうごう)

■ 直線的に美しく寄せる基本の手法
・ 傷の両側の皮膚をスッと寄せて、一本の線に縫い合わせる方法です。
・皮膚に十分なゆとりがあり、そのまま寄せても周囲の形態に歪みや影響が出ない場合に適しています。

  1. 皮弁法(ひべんほう)

■ 組織を移動させ突っ張りを防ぐ応用手法
・ 近くの皮膚をパズルのように少しずらして移動させ、傷をふさぐ方法です。
・そのまま寄せると周囲のパーツが引っ張られて変形してしまう場所や、でこぼこが生じやすい場所、または動かす部位のため傷が目立ちやすい(ケロイドや肥厚性瘢痕ができやすい)エリアで行います。
・傷の線は少し複雑になりますが、「周囲の形を自然に保つ」ための形成外科特有の専門的な工夫です。

~皮弁法が適している場所の一例~

【目周囲】 皮膚に余裕がなく、そのまま縫い寄せるとまぶたが引っ張られたり、目の形が歪んだりしやすい場所です。近くの皮膚を移動させることで、目の機能や自然な形を損なわずに傷を閉じることができます。

【鼻】 鼻は硬い軟骨の上に薄い皮膚が張っているため、皮膚がほとんど伸びません。無理に引っ張ると歪んでしまうため、皮膚をスライドさせて形を自然に保つ工夫が必要です。

【口周囲】食事や会話で常に大きく動く場所であり、かつ左右対称な形が重視される部位です。単純に縫うだけでは唇のラインが引きつれて歪んだり、動かすたびに傷口に強い張力がかかって傷跡が目立ちやすくなったりするのを防ぎます。

】 軟骨を皮膚が覆う複雑な3次元構造(凸凹構造)をしています。皮膚のゆとりが非常に少ないため、欠損部をそのまま寄せようとすると耳全体が変形してしまいます。本来の立体的な形態を維持して再建するために皮弁法が多用されます。

手指・関節】曲げ伸ばしによる動きが非常に大きい部位です。縦方向にまっすぐ縫うと、将来的に傷が硬くなって縮み、関節が伸びなくなる「ひきつれ(瘢痕拘縮)」を起こしやすいため、皮膚をパズルのように組み替えて可動性を確保します。

肩・胸・背中】 体幹の中でも特に皮膚の張力(引っ張られる力)が強くかかる場所です。そのまま縫い合わせると傷口が引っ張られて広がりやすく、ケロイドや肥厚性瘢痕(赤く盛り上がった傷)になりやすいため、皮弁法でかかる力の方向を分散させます。

患者様にとって、最も自然な経過をたどれる方法をご提案させていただきます。